乗らない飛行機の空港へ行く

夕方、私は羽田空港にいた。とはいっても、別にフライトのチケットを持っていたわけではないし、その場で買うつもりもなかった(どのみち今日のチケットは当日に手に入れられなかっただろうけど)。

用もなく空港へ行くことが好きだ。荷物がないなら、羽田へはモノレールで行くのが良い。長い高架の間、風景はめまぐるしく変わる。ビルの間をすり抜け、運河の脇を行き、整備場を横手に眺めながら、国際線ターミナルビルに滑り込む。このダイナミックさと比べてしまうと、京急線はどれだけ利便性が高かろうともほとんどずっと地下区間で味気ない。

空港へ着いたら、展望デッキに出て、飛び交う飛行機を眺める。私はヌルオタなのでエアバスボーイングの区別もできないし、787(エンジンがシェブロンになってる)、777(ランディングギアが3つ)、767の中のどの機種なのかなんて、わかるはずもない。ただ、あのシンガポールエアラインのA350XWB後ろから見るとめっちゃ主翼付け根後側のラインがかっこいいな、とか、あの飛行機はターミナルへタクシーするのに滑走路を横切らないといけないのか、とか、そんなことを考えるだけ。第一ターミナルであれば、国際ターミナルの向こう、対岸の工場地帯が上げる炎も見物だし、第二ターミナルでは巨大な貨物船が頻繁に通過するのを見ていられる。

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飛行機を見るのに飽きたら中に戻ればいい。時間を潰す方法には事欠かない。なにせ飲食店はたくさんある。だいたいのジャンルは一通り網羅されていると考えて差し支えない。今日の私はブルーシールアイスを食べた。こんなものあったのか、と驚いたが、実は8年も前からやっていたらしい。私の目は節穴だ。

建物で言うと、比較的新しい国際線ターミナルが好きだ。和風を演出したモールは好みが分かれるだろうけど、ずらっと並ぶチェックインカウンターとか、モノレールが走ってくるのが見えるガラス張りの外観だとか、統一感のあるサインシステムとか、いかにも現代の公共施設デザインといった感じで好ましい。ターミナル間はバスが走っている。もし移動するのが国内線ターミナル間なら地下一階の連絡通路を歩いてもいい。でも、こういう施設内を行き来するための自動車道って、どうしてこんなに魅力的なんだろう。

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さて、そろそろ日も暮れたので帰ることにする。レンタカーで帰るという手もあった。ネット予約を確かめてみても、車種次第ではまだ空きがあった。レンタカーのチェーンが許せば、家の近くの店へ乗り捨てることもできる。でも、今日はやめた。さすがに夏休みのど真ん中に、初めての首都高で運転をする勇気はなかった。大人しくモノレールに乗る。品川の駅ナカで回らない立ち食い寿司を食べて帰る。

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